会社売却に必要な「自社資産の移転可能性」とは?

清水直樹
この記事では、会社売却における「自社資産の移転可能性」について解説します。あまり聞きなれない言葉ですが、高値で会社を売却しようと思ったら非常に大事な観点ですので、ぜひご覧ください。

 

会社を売却したいと思ったら、「自社資産の移転可能性」が大切な観点になってきます。「自社資産の移転可能性」とは、オーナーがあなたから別の人に移転された場合、今持っている資産が同じように効果を発揮するかどうか?を意味します。

そして、ここで言う資産とは単にお金だけではありません。

  • 自社の顧客
  • 自社の社員
  • ライセンス/契約等
  • その他、業務プロセスなどの知的財産

これらが含まれます。

 

なぜ会社売却時に資産の移転可能性が大事なのか?

まず、自社がいまで生み出している利益は、いま挙げたような自社の資産をうまく活用することによって、生み出されているわけです。そして、買い手企業があなたの会社を買う場合、これまでと同じように利益を出したいわけですが、そのためには資産も同じように維持されなくてはいけません。

いくらこれまでの財務実績が優れていても、オーナーが変わったら資産が維持されない、というのであれば、今後同じように実績を出すことが出来ないので、買う意味がない、ということになってしまうのです。

というわけで、買い手側企業としては、これまでのあなたの会社の財務実績のみならず、その実績を生み出している資産も同じように新オーナーに移転可能か?という視点であなたの会社をチェックすることになります。

 

会社売却時に重視される自社の資産とは?

まず資産の移転可能性を考える前に、自社の資産にはどんなものがあるかを考えてみましょう。

先ほど言った通り、資産とは財務のお話だけではありません。ここでは7つの資産について見てみましょう。

商品/サービス

競争力、独自性があり、高い利益が見込める商品やサービスがあれば会社の価値も高まります。さらに良いのは、それらの商品やサービスを創るプロセスが他の会社には真似できないものであることです。いくら良い商品やサービスでも簡単に真似できてしまったらあまり価値はありません。

ロケーション

特に店舗型ビジネスの場合、良い場所にある、というのはそれだけで買い手企業にとって魅力的になります。

設備/機器

商品やサービスの独自性を生み出す設備や機器も資産になります。これも自社にしかないものであればあるほど価値が高まるのは言うまでもないでしょう。

人材/文化

人材はもちろん会社にとって大きな資産になります。ただ、注意点としては人は常に辞めてしまう可能性があるということです。そのため、買い手側企業が気にするのは、いかに社員が辞めない環境になっているか?ということです。そのためには良い企業文化が必要になるでしょう。良い企業文化があれば、良い人材を引寄せ続けることもできますので、買い手からすると安心材料にもなります。

顧客

優良顧客を多く抱えている会社は魅力的です。顧客に関しては、質と量が大切です。質というのは会社に多くの利益をもたらしてくれる顧客がいるかどうか?そして量というのは、顧客の絶対数のことです。質の悪い顧客がいくら多くても、将来的に余計なコストが増えることが予想されますし、質が良くても数が少なければ、安定性に欠けます。

評判

評判、言い換えればブランドです。業界や市場においてどれほど自社の評判が良いか?また、自社のプレゼンテーション資料の出来栄えやオンライン上での存在感があるかどうかもここに含まれます。

業務プロセス

見逃されがちな資産が業務プロセスです。他にはない業務プロセスが仕組み化されていれば、ビジネスの再現性が高まるため、高い価値が付きやすくなります。業務プロセスはさらに次のように分けることが出来ます。

オペレーション

商品やサービスを効率よく生み出し、提供するための仕組み

マーケテイング

質の高い顧客を集め続ける仕組み

流通/配達

商品やサービスを顧客に届けるための仕組み

顧客サービス

顧客体験を最高のものにし、顧客満足度向上、リピート、口コミへとつなげる仕組み。

リーダーシップ/マネジメント

ビジョンや理念、それらを共有する仕組みや経営チームの存在。

組織戦略

適材適所の人材配置や人事評価などの仕組み。

研究開発

新しい商品や技術を生み出す仕組み。

 

自社にとって何が大事な資産か?

もちろん、これらの資産がどの企業においても等しく重要なわけではありません。メーカーと美容サロンでは売却の際に重視されるポイントが異なります。そのため、自社にとって何が大切な資産なのか?を把握しておくことが大切でしょう。

以下の質問に答えてみましょう。

1.上記に挙げた資産のうち、あなたのビジネスにおいて重要度が高いものはどれですか?

言い換えれば、あなたのビジネスを成功させるにあたって、カギとなる資産は何でしょうか?

2.その資産はどれくらい価値がありますか?

言い換えれば、いま挙げた資産は、他社と比べて、どれくらい競争力がありますか?他社より弱い?または他社を上回る価値がありますか?

 

会社売却と同時に資産も移転可能か?

自社の資産を見極めたところで、次にその資産が移転可能かを見ていきましょう。いくら良い資産があっても、それが売却後に生かされないのであれば、買い手にとってなんの魅力もありません。

たとえば、次のような質問を考えてみましょう。

顧客は移転可能か?

あなたの会社には優良顧客がいるかも知れません。彼らはあなたの会社に対してロイヤリティを感じていますか?またはあなた個人のパーソナリティや能力に対してロイヤリティを感じていますか?後者の場合、あなたが会社を売却してしまったら、同時に顧客も離れてしまう可能性があるため、買い手にとってはリスクが高まります。顧客が商品自体、サービス自体、そしてビジネス自体にロイヤリティを感じていて、継続的に使ってくれていることが大切です。また、そういった優良顧客を管理するための顧客データベースがきちんと整備されているかも大切になります。

 

業務プロセスは移転可能か?

あなたの会社の業務があなたを含む特定個人に依存していると買い手のリスクは高まります。ですから、いかにあなたに依存しない形で業務が行われているか?が大切です。

この件については以下の記事に詳しく書いています。

社長不在で経営できなければ会社は高値で売れない。

特定の社員に依存している会社は高値では売却できない

たとえば、業務プロセスはマニュアル化されていますか?事業計画は定期的にアップデートされていますか?財務計画やマーケテイング計画は?といったところが大切になります。

 

知財、ライセンス、契約は移転可能か?

顧客、仕入先、取引先、不動産などとの契約が整っているか?(口約束でないか?)知財の権利はどうなっているか?これらの項目が文書で残っていることが大切です。

 

人材は移転可能か?

買い手にとって大きなリスクのうちの一つが、会社を買った後にカギとなる社員が辞めてしまう、ということです。そのため、カギとなる社員との雇用契約はどうなっているか?会社売却後も残ってくれるインセンティブがあるか?社内ルールやトレーニングプログラムが整っているか?などが大切になります。

 

 

資産の移転可能性を高めるには?

というわけで本記事では、会社売却時における資産の移転可能性について見てきました。

多くの中小・スモールビジネスにおいては、創業当初は社長の個人的な能力や人脈、技術が”資産”となります。逆に言えば、創業期にはそれ以外の資産はないと言っていいでしょう。この段階での資産は、”移転不可能”と言えます。

それから顧客が増え、売上が上がってくると、だんだんと他の資産が増えてくるわけです。大切なのはこの時に、社長自身や人に依存する資産をさらに増やそうとするのではなく、つまり、社長自身の能力や人脈を増やそうとするのではなく、本記事で述べたような、会社としての資産が何かを見極め、その構築に力を注ぐことです。

あなたがカリスマ社長としてずっと現役で働き続け、後はどうなってもいい、というのであれば、自分の能力や技術、人脈を武器にして戦い続けるのも良いでしょう。しかし、そうではなく、将来会社を売却したい、または承継したい、というのであれば自分に依存しない会社の資産作りに取り組む必要があるでしょう。

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