会社売却後の社長の人生計画を立てる

清水直樹
M&Aが盛んな米国のデータによると、会社を売った社長のうち75%は後悔している、と言います。そうならないためにも、会社売却前に人生計画を明確にしておきましょう。

 

 

なぜ会社売却後に後悔するのか?

経営者にとって、もし会社の売却に成功したらそれはひとつのゴールを達成したということになりますね。周りから見たら、”成功者”とみられることでしょう。

しかし、実はM&Aが日本よりも盛んな米国のデータによると、

売ることに成功した人のうち75%は1年以内に後悔している

とのことです。

なぜそんなことが起こるのでしょうか?

後悔の理由には、想定以下の金額でしか売れなかったことや、売った後にやることが無くなり、喪失感を味わっている、ことなどがあるそうです。

会社売却には二通りのパターンがあります。

ひとつは意図的な売却です。最初から会社を売却する予定で計画を立て、実行するパターンです。おそらくこの記事をご覧の方はこちらを狙っているのではないでしょうか。

もうひとつは強制的な売却です。こちらは業績の悪化や経営者が働けなくなってしまい、計画や準備がないまま売却されてしまうパターンです。

強制的な売却の場合、”高値で会社を売る準備”が出来ないため、ほとんどのケースでオーナーの想定以下の金額でしか売れません。これが会社売却後に後悔する一因でしょう。

また、意図的な売却をし、十分な売却益を得た場合であっても、後悔することがあります。それまで自分が育ててきた会社から離れたことによる喪失感や、コミュニティが無くなってしまうという寂しさが要因です。

強制的な売却、意図的な売却、いずれにしろ、会社売却後に後悔しないためには、いまのうちから売却後の人生計画を立て、準備をしていくことが大切なのです。

というわけで、社長の人生計画を考えていきましょう。人生計画というと、老後の資産がどうとか、貯金額がどうとか、お金の面を思い浮かべるかも知れませんが、それだけではありません。

先ほどの話にもあった通り、十分な売却益を得た後でも、後悔することがあるのです。

会社売却後に後悔しない3つのこと

では会社売却後に後悔しないためにはどうすればいいのでしょうか?これから人生計画を創っていくわけですが、特に以下の3つの点を考慮に入れて計画を立てることが大切です。

次なる人生のビジョン(時間とお金を投資できる場)

あなたは会社売却後に何をする予定ですか?もし既にやりたいことが決まっているというのであれば、非常に良いことです。

なぜならば、会社売却後に後悔した人のほとんどは、”会社を売却した後に、何をしようかと考え始めた人”だったそうです。

逆に、後悔しなかった人は、”会社売却前に、会社を売却した後に何をするかを決めていた人”だったのです。

たとえば、ジョワ・ド・ヴィーブルという有名なホテルチェーンを創ったチップ・コンリーという人がいます。彼はホテル経営で成功していたため、各方面から執筆や講演の依頼がたくさん舞い込みました。すると彼は徐々にホテル経営よりもそういった社外活動のほうに情熱を感じるようになってきました。

ホテルを売却したチップコンリー

最終的にはホテルビジネスを売却し、コンサルティングや講演、執筆活動をすることにしたのです。

彼のように売却後にやることを決めていれば、それに向けて売却の準備も捗ることでしょう。

新しいコミュニティ(人から求められている感)

社長業というのは、社員から、または顧客から常に求められる存在です。それがゆえに非常に忙しい、ということもあるのですが、人から求められている感が社長としてのやりがいだったりします。

しかし、会社を売却してしまったらどうでしょう?

もう会社も社員も顧客もあなたのものではなくなります。それまで当たり前だったコミュニティがもう無くなってしまうのです。コミュニティが無くなる、というのは自分が思っている以上に大きな喪失感を生み出します。

ですので、会社を売却する前から今の会社以外でのコミュニティをどう作っていくか?も考えておくことが大切です。

過去の栄光や立場との決別(letting go)

定年退職したおじいちゃんが過去の栄光をずっと話し続けるという話が良くありますね。会社を売却した人も同じようなことになりがちです。

社長というのは傍から見たら成功者ですし、大きな権限を持っている立場でもあります。会社を売った後には、そういった賞賛や権限もなくなってしまいます。自分の中でいかにそういった外部的な評判を手放すか?が大切です。

 

人生計画にはライフシフトの考え方が欠かせない

人生計画を立てるにあたり、もうひとつ考えておくべきことは、”ライフシフト”です。ライフシフトというのはベストセラーになった書籍です。

ライフシフト

簡潔に内容を紹介すると、以下の通りです。

私たちは長寿化の進行により、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすこととなる。新しい人生の節目と転機が出現し、「教育→仕事→引退」という人生から、「マルチステージ」の人生へと様変わりする。それに伴い、引退後の資金問題にとどまらず、スキル、健康、人間関係といった「見えない資産」をどう育んでいくかという問題に直面する。

このように、ライフシフトの考え方によれば、これまでは80歳くらいまでの人生計画を立てればよかったのですが、これからは100年、または120年くらいの人生計画が必要になるわけですね。

たとえば、あなたが今、50歳だとして、10年後に会社を売却するとしましょう。そうすると60歳。まだ人生半分くらいです。

そこからもう一回起業して、成功させ、また売却することも十分可能になるでしょう。

 

逆算型の人生計画の立て方

では実際に人生計画を立てていきましょう。以下に基本的なステップをご紹介しますので、ぜひご参考にされてください。

あなたがお陀仏になる日は?

私のビジネスの師匠であるマイケルE.ガーバー氏(「はじめの一歩を踏み出そう」著者)は、ビジネスオーナーはまず自分がお陀仏になる日を想像しろ、と言っていました。

その日、あなたは何歳なのか?どんな人が葬儀に参列しているのか?家族はどんな状況なのか?どこに住んでいるのか?といったようなことを想像するわけです。

ビジネスも同じなのですが、人生計画も逆算型で立てることが大切です。言い方が矛盾しているかも知れませんが、あなたにとっての理想的なお陀仏になる日とはどんな日でしょうか?ではそのような日を迎えるにはどうすればよいでしょうか?と考えていくわけです。

したがって、まず考えていただきたいのは、次のような質問です。

 

あなたはいつ死にますか?
その時の家族や友人の状況は?
あなたに対する弔辞はどんな言葉ですか?

 

あなたはいつ会社を売りますか?

次にあなたはいつ会社を売りますか?必ずしも売らなくてもいいかも知れません。場合によっては社員や家族に承継する、という手もあります。いずれにしろ、あなたは何らかの形でいまの会社の一線から離れることになるでしょう。そのタイミングを決めて逆算していきましょう。

 

あなたはいつ会社を売りますか(離れますか)?

 

10年後のあなたの状態は?

あなたがお陀仏になる日、そしてあなたが今の会社を離れる日を想像していただきましたが、そこから逆算していきましょう。30年後、20年後と段階を踏んでもいいですが、なかなかそのような長期スパンは想像しにくいと思いますので、10年後の状態を考えてみましょう。会社を売るタイミングが今から10年以内の人は既に別の人生を歩まれているかもしれませんし、10年以降の人は今と同じポジションでありながらも、今とは違った働き方をしているかも知れませんね。

 

10年後のライフワークは何ですか?
10年後の健康、美容、心はどんな状態ですか?
10年後どんな学びを続けていますか?
10年後どんな家庭環境ですか?
10年後の資産と収入はどれくらいですか?

 

理想の一日を描いてみましょう

10年後について色々と想像を膨らませたら、次は理想の一日を思い描いてみましょう。

できれば紙を一枚取っていただいて、24時間のタイムラインを書いてみましょう。

朝何時に起きますか?朝起きてすることは何ですか?というところからスタートし、夜は何時に寝るか?という1日を描いてみます。

ここまで細かく描くのは、人は想像したことした実現できないし、逆に未来像が明確であればあるほど、その実現確率が高い、ということがわかっているからです。

やってみると結構ワクワクして面白いものですので、ぜひやってみてください。

 

これから1年間で最も重要な目標は何ですか?

さて、これまであなたがお陀仏になる日からスタートし、10年後を見てきました。本当はさらに3年後の状態を描くのがお勧めです。お時間ある方は、10年後の状態と同じように3年後の状態も思い描いてみてください。

次に、さらに現在に近づいていきます。これまで考えてきたことを踏まえると、あなたの今後1年間での最も重要な目標は何でしょうか?ひとつに絞れればベストですが、多くても3つまで挙げてみてください。

 

今後1年間で最も重要な目標は?

 

目標に向けての無増少リストを作りましょう

目標が決まったら、後は実行に移すだけです。と言っても、経営者の場合、誰も監督者がいませんので、忙しい中で新しいことを始めるのがなかなか難しかったりします。私たちはそういった経営者向けのコーチングも提供していますので、そういったプログラムをご利用いただくのも良いでしょう。

新しいことを始めようと思ったら、今やっている何かをやめなくてはいけません。そこで、無増少リストというのを作ってみましょう。このリストは何か新しいことを始めるためのスペースを作る方法です。以下の質問を考えてみてください。

 

目標に向けて、今やっていることで止めること、無くすことを挙げてみましょう。
目標に向けて、今やっていることで増やすこと、新しいことを始めることを挙げてみましょう。
目標に向けて、今やっていることで少なくすることを挙げてみましょう。

All Winのイグジットに向けて

以上、簡単でしたが会社を売って後悔したいための人生計画の立て方をご紹介してきました。ぜひご活用いただき、All Win(みんなが勝つ)のイグジットを成功させてください。

 

最新情報をチェックしよう!
>会社を高値で売るならEXIT CLUBへ

会社を高値で売るならEXIT CLUBへ

中小企業経営者や関わる人たちが全員ハッピーになる会社売却を目指すのがAll win EXIT CLUBです。社会課題とも言える経営者の出口戦略をご支援する日本唯一の会員制度です。

CTR IMG