シリアルアントレプレナーという生き方

清水直樹
昨今、30代、40代の経営者が会社を売却し、新しい事業を立ち上げるケースが増えています。彼らはシリアルアントレプレナー(連続起業家)といわれています。本記事では海外のシリアルアントレプレナーの事例や、なぜシリアルアントレプレナーという生き方が求められているのかをご紹介していきます。

シリアルアントレプレナー(連続起業家)とは?

シリアルアントレプレナー(連続起業家)とは、起業した会社を手放し、また新しい会社をスタートさせるというプロセスを繰り返す人たちのことを指しています。

多くの場合、起業した会社をどこかに売却し、その売却資金で新しい会社を立ち上げるということを繰り返します。

元々はIT起業家の聖地、シリコンバレーで誕生した概念ですが、最近では日本のスモールビジネスや中小企業経営者の中にもシリアルアントレプレナーとしての生き方を選ぶ若手経営者が増えています。

海外のシリアルアントレプレナーの事例

まずは海外のシリアルアントレプレナーの事例をご紹介します。
Martin Varsavsky(マーティン・バーサスキー)氏

マーティン・バーサスキー氏は過去30年間に米国とヨーロッパで8社を設立しました。

マーティンは1990年代にViatel社を創業しました。これはヨーロッパ初の光ファイバーネットワークであり、彼はその後、通信事業者であるJazztel社も創業しました。

マーティンがViatel社を売却したとき、同社は12億ドル(約1300億円)の価値が付きました。また、彼がJazztel社を去ったときには7億7,000万ドル(約850億円)の価値がありました。

2000年代初頭になると新たにYa.comというポータルサイトを創業しました。この会社はその後、6億5,000万ドル(約700億円)でドイツテレコムに売却されました。

2018年にはSoftbankも支援するGoggo Networkを設立しました。これは、自動運転車両の開発を支援しています。

参照元:https://english.martinvarsavsky.net/

 

マーティン氏が素晴らしいのは、複数の業界/分野にわたって何度も起業し、成功させていることです。普通に考えれば、同じ業界や同じ業態でもう一度やろう、ということになりそうなものです。

しかし、彼は起業や経営で成功する原理原則を理解していたため、多方面の事業で成功することが出来たのです。海外にはこういった起業のプロ、経営のプロのような人たちがたくさんおり、彼らはビジネスチャンスを見つけ、事業を立ち上げ、それを売却するということを繰り返します。

マーティン氏が成功の要因を回答している海外のインタビュー記事がありましたので、重要な点をピックアップしてみたいと思います。

 

創業者が会社を始めるときに犯す最も一般的な間違いは何ですか?
よくある間違いの1つは、実行可能性を確認する前にアイデアに執着しすぎることです。自分の市場をよく知る必要があります。自分のアイデアが追求する価値があることを確認する前に、徹底的に研究しなければなりません。  

 

これまでに受け取った最高のアドバイスは何ですか?
私が今までに得た最高のアドバイスは、父、ハーバード宇宙物理学博士からのものでした。父はハーバード宇宙物理学博士で、南アメリカで最大の電波望遠鏡を建造しました。彼のアドバイスは「決してアルゼンチン(自国)に戻らないこと」でした。私はアルゼンチンが大好きです。しかし、父の言うことを聞かなかったとしたら、私はおそらく何度か破産したりしていたでしょう。自分の会社を設立したい人に私が与えるアドバイスは、粘り強くすることです。最も成功するアイデアは信じられないほどの決意を必要とします。一貫して、長い間挑戦することをいとわない決意が必要です。

 

会社を始めようと思ったきっかけは何ですか?
私のアイデアは、常に自分の経験から来ています。たとえば、2014年、私はPrelude Fertilityを設立し、不妊治療のビジネスを始めました。これは私の妻が体外受精したという個人的な経験の結果です。一方、Goggo Network(自動運転)を設立するというアイデアは、交通渋滞の中で思いつきました。私はいつも移動で時間を無駄にしないように心がけてきました。現在、私の家、職場、および子供の学校はすべて5分以内で、空港はわずか15分です。私はあらゆる都市で発生する渋滞を回避するために自動運転が必要だと考えました。

参考:https://www.asiatechdaily.com/martin-varsavsky-prelude-fertility-inception/

 

事業の短命化がシリアルアントレプレナーの増加を後押しする

さて、冒頭で言った通り、マーティン氏のように8社とは言わないまでも、30代~40代くらいでそれまで経営してきた会社を売却し、次の事業を立ち上げる経営者が日本でも増えています。
なぜそのようなシリアルアントレプレナーが増えているのでしょうか。これには”ひとつの事業の寿命が短命化している”という要因があります。事業の短命化は次のような要因によって起こっています。

1.IT・通信技術の発展

ひとつはIT・通信技術の発展です。これによって、事業を立ち上げることが容易になったり、事業の成長スピードがこれまでよりも格段に上がっていたりします。
たとえばお店の広告宣伝について考えてみますと、昔はチラシをデザインして、印刷して、撒いて、効果を確かめる、というプロセスを回すのに数か月はかかっていました。しかし今は、HPを立ち上げ、ウェブ広告を出し、効果を確かめるのに早ければ1か月もかかりません。それだけ会社経営のスピードが速くなっているのです。
一方、それと同時に、これまで成長企業といわれていた会社が、新興のスタートアップ企業との競争に負けて、没落していく、というケースも増えています。
IT・通信技術の発展は、事業の成長スピードを上げている一方で、短命化も進めているのです。

2.人々の価値観の変化が速い

2020年に起こった新型コロナウィルスのパンデミックのように、人々の価値観が急激に変化するということが起こっています。
たとえば巣ごもり消費といわれるように、家にいながらにしていろいろなサービスを受けられるようになっています。一度、そのような便利さに慣れてしまうと、なかなか元の価値観には戻らないものです。
本来は、それとともに会社は事業モデルを変化させていかなくてはいけません。ただ中小・スモールビジネスの場合には、その変化についていけなくなることも多いものです。

 

事業の短命化にどう対応するか?

では経営者として、この「事業が短命化している」という事実にどう対処すればいいでしょうか?

複数事業を経営する

ひとつの方法は、いまの事業を経営しながら、新事業を立ち上げ続ける、ということです。

要は事業を多角化していくということです。これによって事業の短命化というリスクに対処する方法です。

これは理にかなっているように思えますが、実際のところ、ほとんどの中小・スモールビジネス経営者にとっては難易度が非常に高いです。そもそもひとつの事業を立ち上げ、安定的に成長させることだけでも大変なのに、そんな中ほかの事業に手を出すのは現実的ではありません。

既存事業を売却してシリアルアントレプレナーになる

もうひとつの方法は、既存事業を売却し、新事業に取り組むこと、つまりシリアルアントレプレナーとして生きていくことです。

自社では既存事業を成長させることが難しくなったら、より体力がある大手企業に売却し、その中でシナジー効果を生み出しながら事業を継続させていくこともできるかもしれません。

この場合、経営者は株式を手放すことで創業者利益を確保し、その資金をもとに新しい事業を創ることが出来ます。

 

まとめ:事業の仕組み化でシリアルアントレプレナーになる

もしあなたがシリアルアントレプレナーになりたいと思ったら、ぜひ身に付けたいのが、事業を仕組み化するという考え方とノウハウです。

会社を売却する、特になるべく高値で売却したいと思ったら、会社の経営が自分に依存しない状態にする必要があります。なぜならば、あなたが会社を売った後、別の誰かが経営をすることになるのですが、あなたにしかできない業務が多数あれば、間もなく運営が出来なくなってしまいます。そんな会社を買いたいと思う人はいません。

この辺についてはこちらの記事に詳しく書いています。

社長不在で経営できなければ会社は高値で売れない。

そして、会社の経営が自分に依存しない状態にするために必要なのが、会社の仕組み化です。

会社の仕組み化をすることで、あなたがいなくても、売上が上がり、業務が改善され、顧客に価値を提供し続けられる、という状態にすることが出来ます。

そのような会社であれば、”ぜひ買いたい”と思う会社も出てくるでしょう。

会社を仕組み化して高値で売却する方法については以下、EXIT CLUBの中でご紹介していますので、ぜひご参考にされてください。

https://exit-club.com/entry

 

 

 

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