社長不在で経営できなければ会社は高値で売れない。

清水直樹
あなたの会社はあなたがいなくてもうまく回りますか?会社を高値で売却したいと思った時、ほとんどの中小企業にとってハードルとなるのがこの問いです。この記事では社長に依存する経営から抜け出すためのヒントをご紹介します。

 

ズバリ言って、経営が自身に依存しており、社長が変わったら経営できない、というような会社は売ることが出来ません。これが原因でほとんどの中小企業は、売りに出たとしても買い手が付かないのです。考えてみれば当たり前です。あなたが会社を売った後、別の誰かが経営をすることになるのですが、あなたにしかできない業務が多数あれば、間もなく運営が出来なくなってしまいます。そんな会社を誰が買いたいと思うのでしょうか?

一方で、中小企業の経営は、非常に大きな範囲で社長に依存しているケースがほとんどです。というわけで、会社を高値で売却したいと思ったら、社長が交代しても経営できる会社にすることが非常に大きなハードルになるわけです。

これは難易度が高いテーマだ、と思われるかも知れませんね。

しかし安心してください。私たちはこのテーマについての専門家であり、そのベースとなっているのは過去40年間、世界7万社で実績を出し続けてきたメソッドなのです。

実際には多くのノウハウがあり、各社様ごとにカスタマイズしてご支援していくのですが、本記事では大枠の考え方や基本的な原則をご紹介したいと思います。

 

職人型ビジネスとハブ型ビジネスは売却できない

では、経営が社長に依存している状態とは具体的にどんなケースでしょうか?

ここでは二つのパターンをご紹介します。

パターン①職人型ビジネス

職人型ビジネス

いわゆる「⼿に職」をつけて独立した社⻑は職人型ビジネスに陥りがちです。税理士は税理士として、デザイナーはデザイナーとして、コンサルタントはコンサルタントとして独立します。しかし、そのサービスを提供することが出来るのが会社の中で自分しか存在しないために、いつまでも自分が現場で働き続けることになります。職人型ビジネスは社⻑の時間と体⼒の限界が会社の限界になってしまい、事業がスケールしません。

パターン②ハブ型ビジネス

ハブ型ビジネス

職人型ビジネスよりももう少し組織が大きくなってくるとなりがちなのが、ハブ型ビジネスです。こだわりが強い社長は、業務に関するあらゆる意思決定が自分に集中しています。そのため、自立社員やリーダーが育たず、いつまでも仕事が自分に依存します。いわゆる組織作りが出来ていないため、自分の代わりに意思決定できる人材がおらず、いざ事業承継を迎えた時には困難をきたします。

 

会社を売却可能にする考え方

繰り返しになりますが、買い企業にとって重要なことは、すべての業務活動の中心に、あなたがいなくても成長できるかどうかです。社員はあなたに依存せずに行動できるでしょうか。3か月間あなたが働けなくなった場合、あなたのビジネスはどのようになりますか?

中小企業の社長は、顧客の問題を自分の能力で解決することは素晴らしいことだと感じています。顧客は彼らに賞賛を浴びせるため、社長は感情的な満足を得ることができ、自分自身の手でのみ顧客に最高のサービスを提供できると信じています。

ほかの社員に社長と同等の仕事させるためのトレーニングには、多くの時間を要し、多くの経費がかかることがあります。しかし実際には、顧客があなたを必要とし、個人的に依頼してくるほど、ビジネスを成長させるのが難しくなり、長期的には会社の価値は低くなります。

自分と会社を切り離して考える

さて、あなたは自分で作った会社なんだから自分に依存するのは当たり前じゃないか?と思うかも知れませんね。

しかし、世界ナンバー1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏によれば、ビジネスは正しく作れば、それ単体で自律的に運営されていくものなのです。

ビジネスをあなたの一部としてではなく、あなたから独立したものと考えるべきだ。ビジネスは1つの生き物であり、最終的にビジネスはそれ自体として存続するし、それ自体として命を持ち、それ自体として意志を持ち、それ自体として法を持ち、それ自体として目的を持ち、それ自体として意図を持つ - マイケルE.ガーバー

 

ほとんどの経営者はビジネスと自分自身が一体化していますが、本来、ビジネス(会社)とはそれ自体が生命体のように目的を持ち、活動を続けることが出来るものです。

もしあなたの会社がそのように運営されていないとしても安心してください。いまと違った価値観で、働き方で運営してくことであなたが不在でも成長する会社が出来ます。私たちのクライアントの事例もたくさんあります。

以下のページでひとつの事例をご紹介しています。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

介護事業の会社が業務のマニュアル化で効率良い経営を行うことを可能にし、従業員数増加・新規事業チャレンジに成功した事例を有…

 

社長依存から抜け出して売却可能な会社にするための基本ステップ

では、社長依存から抜け出して売却可能な会社にするための基本ステップを見ていきましょう。冒頭で申し上げましたが、これはあくまで基本ステップです。御社の状況によって方法や順序は様々ですので、それを踏まえてご覧ください。

また、各ステップの詳細については姉妹サイト「仕組み経営」にアップしているので、そちらへのリンクが多くなっております。ご了承ください。

 

1.3つの人格と成長ステージを理解する

まずは「3つの人格と成長ステージ」のお話です。こちらはマイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」に書いてある内容になります。

あらゆる経営者は、その内に3つの人格を併せ持っています。「職人」「マネージャー」「起業家」です。職人は目の前の仕事を実行する人格、マネージャーは計画づくり、仕組みづくり、部下の管理をする人格、「起業家」はビジョンや長期の展望を創造する人格です。

多くの社長はほとんどの時間を「職人」の人格で過ごしていることでしょう。しかし、ここで重要なのは、3つの人格が存在することを認識し、事業の成長ステージによって使い分けることです。

3つの人格

そして、3つの成長ステージは次のとおりです。

3つの成長ステージ

 

もちろん、会社が小さいときやスタートしたばかりの時には、社長自身が多くの時間を「職人」や「マネージャー」の人格で働く必要があります。しかし、成長につれて、以下のように経営者の仕事の割合を変えていかなければ、ジリ貧の経営になってしまうのです。

時間のバランス

 

2.時間の使い方を分析

次に、自分がどのように時間を使っているか分析してみましょう。先ほど言った通り、多くの社長は「職人」の人格が多い傾向にあります。まずその現実を理解することが大切です。

3.自分の仕事を分析

次に自分が行っている仕事を分析してみましょう。これにはいくつかのやり方がありますが、最もわかりやすいのは先ほどの「職人」「マネージャー」「起業家」のカテゴリーで仕事を分類することです。

そして、「職人」「マネージャー」の仕事の中から、あなたがやるに値しない仕事を特定し、それらを他の人に任せます。本当は「起業家」の仕事以外はすべて手放したいところですが、「職人」の仕事の中にも価値が高く、簡単に人に任せらない仕事があるものです。

特に開発系の会社や高度なサービス業の会社の場合には、自分が”社内トップの職人”ということが多いでしょう。そういった仕事は簡単に委任できないので、後でトレーニングの仕組みを作って委任をしていきます。

 

4.マニュアルを作る

次に、委任やトレーニングの仕組みを作るためのマニュアルを作りましょう。これに関しては以下の記事で詳しく解説をしています。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

今回はマニュアル作成完全ガイドと題して、マニュアルの作り方のコツから例、テンプレートなどまでをカバーしていきます。主には…

 

5.委任の仕組みを作る

マニュアルがあると委任するのが簡単になります。私たちは仕事を任せる際の社内の仕組みやルールも統一しておくことをお勧めしています。これに関してのヒントも以下で解説をしています。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

もしあなたが中小企業やスモールビジネスの経営者ならば、本来経営者がやるべきではない仕事も日々たくさんこなしていることでし…

 

6.トレーニングの仕組みを作る

中小企業で圧倒的に欠けている仕組みがトレーニングです。社内に人を育てる仕組みが無いために外部の研修会社に依存しきり、というパターンもあります。しかし、可能な限り人の育成は内製化するのが吉です。その理由や方法については以下に記載しています。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

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7.経営チームやナンバー2を作る

ここまでくると、ある程度の定型業務は仕組み化され、あなたがいなくても運営できるようになります。しかし、まだ「経営の仕事」が残っています。これに関しては一朝一夕にはいきませんが、経営チームやナンバー2を育成していくことである程度、経営の仕事の「リモートコントロール」が可能になります。

ナンバー2育成については以下の記事をご覧ください。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

多くの社長は、会社のナンバー2が欲しい、自分の右腕を創りたいと考えています。そこでこの記事では、会社のナンバー2(社長の…

 

8.休暇を取る

会社があなた無しで運営できるかどうかを知るために、連絡が取れない状態にして休暇を取ります。

これは単に休むために休暇をわけではなく、自分がいなくてもうまく回るかどうかをテストするための休暇です。もし4週間連絡なくても問題ないようであれば、社長不在で回る会社が完成したことになります。

もし何か問題があれば、その部分を調整します。それを繰り返せば自律型組織に近づいていきます。

いきなり4週間は無理、という方がほとんどだと思いますので、まずは1日会社に行かない日を作ってみましょう。どんなことが起こりますか?社長にしか判断できないことや何か業務が止まる部分あれば、そこが”あなたがボトルネックになっていて会社が回っていない”原因になります。ですので、そのボトルネックを排除する仕組みを創りましょう。

1日いなくても回るようになったら、次は3日間、次は1週間、というように増やしてみましょう。

 

社長は社長の仕事に集中しよう

さて、社長が不在でも回る会社、というと社長ばっかりが楽してるみたいでイメージが悪い、という方もいらっしゃるかも知れません。しかし、社長が会社に行かないからと言って、仕事をしていないわけではないのです。社員と社長では働き方や働く内容が違う、というだけです。

マイクロソフト創業者のビルゲイツは、1年に1週間、小屋にこもり、情報を集めて長期的なアイデアを練る時間に充てているそうです(シンクウィークと言います)。

シンクウィークのおかげでマイクロソフトはインターネットの時代の波にキャッチアップすることが出来たことは有名な逸話です。

本来は、そういった時間を取ることこそ社長の仕事なのです。これは社内にいて雑多な情報や業務に追われている時にはできないのです。

 

まとめ:自分がいなくても回る「仕組み」が必要

以上、会社の運営が社長に依存しないための考え方についてご紹介してきました。大切なのは会社の運営を「人依存」から「仕組み依存」へと変えていくことです。これには社長の価値観の変化も必要ですし、時には会社全体の文化を変えていくことにもなります。

そのため、一朝一夕にできるわけではないのですが、私たちの経験から言って、短くて1年、長くて3年くらい取り組んでいただければ、ほとんどの会社で社長が不在でも成長する会社を創ることが出来ます。ぜひ取り組んでみてください。

 

 

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