パルテノン戦略で高値で売却出来る会社を創る

特定の社員に依存している会社は高値では売却できない

清水直樹
本記事では高値での会社売却を実現させるためのバリューアップテクノロジーのひとつ、”経営自立度”についてご紹介していきます。5年~10年を目途に会社を売却したいと思っている社長はぜひご覧ください。

 

高値で会社を売却するためには、あなたの会社の経営がどれだけ自立しているか?が重要な要素になります。逆に言えば、あなたの会社の経営が何かに依存していれば、高値での売却が難しくなります。これがどういうことか、より詳しく見ていきましょう。

 

サプライヤーからの経営自立度

あなたの会社が1つまたは2つの主要なサプライヤー(企業または独立事業主)に依存している場合、あなたは彼らに生殺与奪権を握られていることになります。たとえば彼らの会社が倒れてしまえば、あなたの会社も同時に倒れてしまいますし、彼らの気が変わって商品やサービスを提供してくれなくなれば、あなたのビジネスは立ち行かなくなります。

あなたの会社を買う側の心理を考えてみましょう。

買い手側は、買った後にも安定して収益を上げ続ける、またはさらに成長していく事業が欲しいのです。

そのため、あなたの会社が買い手にとって魅力的に映るためには、将来にわたって安定的に収益を上げる確証が必要です。一方で、他社に生殺与奪権を持たれていると、経営上のリスクが高いと判断されてしまうのです。

この場合、いくら今年収益を上げていたとしても、来年、再来年はわからない、ということになり、将来の収益分が売却価格から差し引かれてしまう可能性があります。したがって、結果的に高値での売却が難しくなるわけです。

同じ事がサプライヤーだけではなく、社員、顧客にも当てはまります。

 

社員からの経営自立度

業務が特定の社員にあまりにも依存している場合、彼らが離職を選択したり、または給料の交渉をしてきりすると、経営が重大なリスクにさらされます。これも同じく経営の自立度を下げることになり、価値が下がります。

特定の社員に業務が依存している状態というのは、2パターン考えられます。

パターン①ベテラン社員、たとえば社長のナンバー2のような人に依存している

社長のナンバー2、右腕がいる、というのは社長が現役の時には非常に心強いものです。歴史を振り返ってみても、優秀なナンバー2がいる会社のほうが成功している確率が高いと言えます。

本田宗一郎氏と藤沢武夫氏は非常に有名なコンビです。技術屋のオヤジだった本田宗一郎氏はお金の面倒が苦手で、藤沢氏がそれを助けました。本田氏は、藤沢氏に実印も預けて全て任せていたと言われています。また、井深大氏と盛田昭夫氏も同じような関係で有名です。

海外でもアップルを創ったスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、マイクロソフトを創ったビルゲイツとポールアレン等が当てはまります。

一方、会社を売却するとなった場合、このナンバー2の人たちがどうなるか?ということも考えておく必要があります。

もし彼らも相当数の株式を保有しており、会社売却と同時に社長と一緒にリタイアしたいというケースもあるでしょう。この場合には会社を買う側としてはかなり不安要素が出てきます。経営の実権を握っていた社長とナンバー2が去ってしまうのですから当然です。

また、ナンバー2が残る場合であっても、彼らに長期的なインセンティブ(株式など)が与えられていない場合、社長が去ってしまったら、そのうち彼らも転職してしまう可能性が高いので同じく経営のリスクが生じます。

皮肉なことに、”私はあなたに付いていきます”というような社長に惚れ込んだ理想的なナンバー2がいる場合、買う側の会社からするとそれがリスクに見えてしまうのです。

ナンバー2がいることは非常にラッキーなことですが、会社売却を目指す場合には、彼らと十分な話し合いを行い、売却後の経営に支障をきたさないように準備をしておく必要があります。

なお、ナンバー2育成については別サイト「仕組み経営」で記事をアップしていますので、合わせてご参照ください。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

多くの社長は、会社のナンバー2が欲しい、自分の右腕を創りたいと考えています。そこでこの記事では、会社のナンバー2(社長の…

 

パターン②凄腕の技術者に依存している

もう一つのパターンは特定の技術者に経営が依存している場合です。これはもちろん、メーカー系の会社にありがちなパターンです。その道何十年、というベテランの技術者の方や職人がいる場合にも同じような経営リスクが生じます。

このような場合、解決策としては3つ考えられます。

一つ目は、高度な職人技が不要なビジネスモデルへと変換することです。これには大胆な経営改革が求められますし、社内からの反発も強いかも知れません。しかし、上手く行けば最も将来的な伸びが期待できる方法です。

たとえば、某リフォーム会社では、それまで職人の高度能力に頼り、どんな案件でも受けるということを強みに成長してきました。ところがあるときに社長でありベテラン職人でもある自分が交通事故にあいます。入院中に社長は考えました。

「今迄みたいに、職人技に依存するモデルでは同じようなリスクが起こるかも知れない」

と。

そして、そこからビジネスモデルを一気に変え、なんでも受けるのではなく、キッチンのリフォームに特化したのです。そして、リフォームのやり方を完璧に仕組み化し、最低限度の能力を持っている職人であれば対応できるようにビジネスを作り変えることに成功したのです。

 

二つ目の解決策は、技術を使って人の負担を軽減することです。

これに関して有名な事例としては「獺祭」が挙げられるでしょう。獺祭を製造している旭酒造は、過去に大きな経営危機に直面しました。その時、杜氏が会社の将来を危ぶんで、会社を辞めてしまったのです。

常識的に考えたら、杜氏無しでの酒造りなど考えられません。しかし彼らはあきらめませんでした。その時から杜氏に依存するのではなく、自分たちでお酒を造っていこうという考えになったのです。酒造りの見える化、データ化を進めたことで、杜氏時代は最大で2億円くらいだった売り上げが、酒造りを仕組み化にしたことで108億円にまで成長しました。

獺祭の経営改革についてはこちらにも詳しく掲載しています。

仕組み化で会社が成長する- 仕組み経営

年商一億弱だった会社が、職人技を仕組み化して108億円まで成長しました。 これは「獺祭」という日本酒ブランドを販売する旭…

 

三つ目の解決策は、職人技を教える教育の仕組みを作ることです。これに関しては様々なやり方がありますのでここでは詳しくご紹介しません。考え方としては、いままで10年かかって一人前にしていたところを、教育の仕組みを作ることで半分くらいに短縮することです。

 

顧客からの経営自立度

これは多くの中小企業にとって大きな課題となるでしょう。売上が特定の顧客にあまりにも依存している場合、あなたのビジネスは非常に不安定になります。目安としては、最大の顧客からの売上が、全体の15%以上を占めていれば経営上のリスクがあると言えます。

大手からの下請けをしているケースや、BtoBビジネスで大口顧客がいるケースは自立度が低いと言えます。この場合、まさに生殺与奪権を顧客に握られているということになり、会社売却を考えていなかったとしても、普段から心理的ストレスが大きいに違いありません。

このような状態から抜け出すのは一筋縄ではいきません。多くの中小企業が悩んでいる部分でもありますので、ここで簡単な解決策を出すことは難しいです。しかし大きな方向性としては次のようなことが挙げられるでしょう。

少額しか買っていない顧客からの売上を増やす

大口顧客以外にも少量だけ買ってくれている顧客がいる場合、彼らからの受注を増やせる可能性があるかもしれません。彼らが少量しか買ってくれていない理由は何でしょうか?彼らに販売できるものは他に何かないでしょうか?

一般消費者に売れる商品を開発する

現在の技術や強みを生かして、一般消費者に売れる商品は作れないでしょうか?一般消費者への販売は一件一件は少額ですが、その分、顧客数が増えますので安定性が増します。

このやり方で成功した有名な例は、「バーミキュラ」という鍋でしょう。

この鍋、非常に密閉率が高く、水無しでおいしい鍋料理が出来るということで話題になり、一時は品薄状態が続いた大ヒット商品です。

売っているのは、愛知ドビーという鋳造メーカーです。もともと下請けのメーカーでしたが、それでは未来がないということで、自分たちの技術を使ってこのバーミキュラという鍋を作り、大ヒットしました。

マーケティングを強化して新規開拓する

3つ目はマーケティングを強化して新規開拓をするということです。技術系の中小企業の場合、そもそもマーケティングという機能が社内にないケースが多いです。そのため、既存顧客からの受注に依存せざるを得なくなっているのです。

マーケティングの詳しい話はここでは省きますが、自社の強みはどこにあるのか?その強みを活かせる市場はどこなのか?その市場に向けてどうサービスや商品をパッケージ化するか?どう宣伝するか?どう販売するか?というようなことを考えていくことになります。

 

パルテノン戦略で高値で売却出来る会社を創る

以上、会社を高値で売却するための経営の自立度についてご紹介してきました。経営の自立度のイメージとしては、パルテノン神殿がピッタリでしょう。

パルテノン戦略で高値で売却出来る会社を創る

パルテノン神殿は複数の柱で保たれています。ですので、一つの柱が崩れてもまだ安定して建っていられます。

逆に「大黒柱」のように依存度が高い柱が一つだけあるモデルは危険です。「大黒柱」が崩れてしまえば、他の細い柱では建物を支えきれません。

「大黒柱」があれば今のところは安心感がありますし、あなたは「この大黒柱が倒れるはずがない」と思っているかもしれません。しかし、会社を買う側の視点は厳しいものです。その大黒柱が倒れたらどうなるんだ?と考えるものなのです。

ぜひこの記事をご参照にしていただき、会社を高値で売却するために経営の自立度を高めていっていください。

 

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